前回米国高配当ETF(VYM)とS&P500ETF(SPY)を比較してSPYで十分という感じだったのですが、高配当といえばよく見かける個別株ポートフォリオだとどうなるか比較してみました。
比較目的
米国高配当個別株ポートフォリオは高配当ETFに対して優位性があるか確認する。
比較対象
比較は以下の3点で行った。
1.高配当ETF(VYM)
2.高配当個別株ポートフォリオ
3.米国高配当個別株ポートフォリオ
各ETFの構成内容よりわかること
- VYMの構成国は米国だけだが、個別株で高配当を基準にポートフォリオを組むと条件によっては米国30%となる。
- 高配当個別株で米国100%も一応組成可能。
※PM、ABBVはデータ年数が足りないため今回は対象外にしている。
各ポートフォリオのリターン比較表・グラフ
リターン計算は2008年から2019年途中までの期間で、1年ごとのリバランスを行いながら、配当再投資を行う条件となっている。
各ポートフォリオのパフオーマンス比較よりわかること
- VYMに対して高配当個別株ポートフォリオ(米国30%)はリスクが同等でリターンは悪い結果となった。
- VYMに対して米国高配当個別株ポートフォリオはリターンが同等でリスクは低いため、シャープレシオは良好な結果だった。
- ETFより個別株ポートフォリオの方が配当は多い。
- 結果だけ見ると米国高配当個別株ポートフォリオはVYMより優位性が認められる。
個別株が属する国別指数のパフォーマンス比較
米国、イギリス、オーストラリアの株式指数ETFの比較を行った。
国別指数ETFのパフオーマンス比較よりわかること
- 対象とする期間では米国に対してイギリス、オーストラリアの株式市場はパフォーマンスが低い。
- イギリス、オーストラリアの高配当個別株は多少なりとも低調な指数の影響を受けている可能性がある。
まとめ
2008年からのデータで米国高配当ETFのVYMと高配当個別株ポートフォリオの比較をしてみたが、米国株のみでポートフォリオを組んだものが結果としては良かった。但しこれは結果を知っているうえで比較したためであり、実際にはこのようなパフォーマンスは期待できないと思われる。理由として米国とイギリス、オーストラリアの株式市場の予想は事前にできないため、通常であればより高配当で、手続き無しで税金がかからないイギリス、オーストラリアの株を優先しがちであること。また個別株で銘柄数が少ないと減配リスクが高いためで、今回は知っているので入れていないクラフトハインツなどを含めていると結果は大きく変わる可能性があることなどである。もしそれらの要素を避けようとすると銘柄数が増えるため、徐々にETFの結果に近くなり、個別株ポートフォリオの優位性は低下すると思われる。以上の事から高配当個別株ポートフォリオはパフォーマンスがETFよりも良くなる可能性があるが、かなり慎重に銘柄を選定する必要があると思われる。