国内外成長株の海外成長株に入る銘柄としてロス・ストアーズに新規投資しました。とりあえず大まかに紹介します。
ロス・ストアーズ(ROST)
ロス・ストアーズは、カリフォルニア州ダブリンに本社を置くS&P500、Fortune500、およびNasdaq100(ROST)の会社であり、2018年度の収益は約150億ドルです。現在、米国最大規模のオフアパレルおよび家庭用ファッションチェーンであるロスドレスフォーレス®(「ロス」)を運営しています。品物は有名ブランドとデザイナーのアパレル、アクセサリー、履物、ホームファッションを毎日20%から60%割引で提供しています。また19州で260 dd’sDISCOUNTS®を運営しており、より手頃な価格で一流のシーズン限定の有名ブランドアパレル、アクセサリー、履物、そして家族用ホームファッションなどをデパートとディスカウントストアの通常価格から20%から70%の割引で販売しています。業態としてはディスカウントの中でもOPS(オフ・プライス・ブランディッド・ストア)と呼ばれる小売業態となります。
OPSの意義
日本ではアウトレットはあるものの、どちらかと言えばブランドイメージの保護のため積極的にブランド品の安売りは行わない感じですが、実際のところはブランドは、店舗で定価で(またはわずかな値引きでも)販売できない過剰な製品があるため、適切なキャッシュフローを持ち、ビジネスで成功するには、合理的に考えるとこの在庫を売却する必要があります。ここで過剰な在庫を減らせばと考えられるかもしれませんが、小売では過剰な在庫が避けられない理由としてファッショントレンドの人気度や特定のシーズンの成功度に関係なく、売れなかったアイテムが常に残っています。このデッドストックまたは過剰在庫は、企業にとって当然多くの問題を引き起こします。
アメリカではその役割としてOPSと呼ばれる価格の安い小売業者に、卸売価格から40~60%の割引価格で製品を売却しています。このような過剰在庫は、注文のキャンセル、季節外れの製品、過剰生産、製造エラーなど、多くの理由で発生する可能性があり、小売業界では避けられません。これらの安価な小売業者はこのような低価格で製品を仕入れることができるためブティック、デパート、その他の一般価格の小売業者で見られる価格よりも大幅に低い価格で消費者に販売することで利益を上げることができます。
OPSの成長性について
アメリカでこのような衣料を中心としたOPSでは最大手がTJX、続いてロス・ストアーズ、バーリントン・ストアーズと続きます。売り上げ規模を大手百貨店と比較すると、2005年の百貨店(メイシーズ/ノードストローム/ディラード)の合計が450億ドルに対してOPS3社合計が220億ドルでしたが、2018年では百貨店合計が470億ドルと2005年とほとんど変化がなかったのに対して、OPS3社は600億ドルと急激に売り上げを伸ばしており、百貨店を逆転して差は広がっていて今後もOPSの成長性は期待できる感じです。
ロス・ストアーズの歴史
OPSとしてのロス・ストアーズの歴史を調べてみます。
1982-1986:
- 1982年8月、サンフランシスコ湾岸地域にある6つのデパートがまとまり、ロスドレスフォーレスオフプライスという形式になりました。
- ロスストアーズは、1985年8月にIPOで公開され、ナスダックで「ROST」というシンボルで取引が始まりました。
- その後急速に拡大し、1986年度で総売上高は5億ドルで、16州で121店舗を展開しています。
1987-1989:
- 成長のため、あえて店舗管理とインフラストラクチャへの投資に行い、展開を減速しました。
1990:
- 1980年代後半に低価格販売から差別化戦略に部分的に変更し、コアとなる低価格路線から離れたため店舗の売上と収益が減少しました。
- 再度戦略を見直し、効果的な低価格のビジネス戦略が開発され、現在もその実践を続けています。
1991-1995:
- 1990年代に商品スタッフが4倍以上に増え、可能な限り最高の掘り出し物を獲得する当社の能力を強化するために、仕入れ部門の組織を見直し、投資も行われました。
- 仕入れの最優先事項は、全国的に認知されている有名ブランドのクローズアウト購入の量を増やすことにより、顧客に幅広い品揃えの魅力的な価値を提供することでした。
- 製品の提供は、ホームアクセント、ベッド&バス、およびその他の非アパレルカテゴリを含むように拡大しました。
1996-2000:
- 低価格販売というコア戦略の一貫した実行により販売と営業利益の著しい成長が見られました。
2001-2010:
- 南東部および中部大西洋に展開し、店舗の成長が加速しました。
- この成長をサポートするために、4つの新しい配送センター、拡張された配送センター、新しい倉庫および輸送管理システム、新しいPOS、金融、およびマーチャンダイジングシステムなど、幅広いインフラ投資が行われました。
- 当社は2004年にddと呼ぶ別店舗形態も開始しました。これは、ロスの顧客に比べて中程度の収入を持つ世帯の顧客を対象としています。
2011-2017:
- ロスドレスフォーレスは2011年に中西部地域に参入し、ほぼ10年ぶりの主要な新規市場としてシカゴ地域に12店舗を初オープンしました。2017年末までに、ロスはイリノイ州、インディアナ州、アイオワ州、カンザス州、ケンタッキー州、ミズーリ州、ノースダコタ州、サウスダコタ州、ウィスコンシン州で合計149店ほど開店しました。
- 国内の店舗の可能性に関する詳細な分析に基づいて、ロスドレスフォーレスは長期的な店舗の可能性の目標を1500から2000店に引き上げました。
- 将来の店舗拡大をサポートするために、2014年と2015年に、ニューヨークオフィスを購入し、サウスカロライナとカリフォルニアに2つの新しい配送センターを開設するなど、多くのインフラ投資を行いました。
2018
- 2018年、社内調査に基づき、ロスドレスフォーレスの長期的な店舗目標を全国で2400店、ddは約600店舗に変更しました。
ロス・ストアーズの店舗展開と売り上げについて
会社の歴史を見てもわかるように、売り上げ、店舗展開とも拡大しています。
販売品目と店舗の様子について
全ての店舗が同じではないかもしれませんが、ハワイ、グアムにもあるため多数のブログがあがっていてそれが一番わかりやすいと思います。代表的なものとしてグァムの観光資料をリンクしておきます。
競合店について(TJX)
TJXは世界中に3800を超える店舗を展開し、米国最大の低価格小売店です。同社の7つのビジネスには、マーシャル、ホームグッズ、TJマックス、TKマックスが含まれます。これらの小売チェーンはそれぞれ、異なるニッチで安価な商品を提供しています。ただし、すべてが同じ価値をお客様に提供するという同じブランドミッションを共有しています。1976年に設立された同社は、世界で最も有名な低価格ビジネスの1つであり、330億ドルを超える収益を誇っています。
TJXとロス・ストアーズの違いについて
ほとんど同じ業態とも思えるのですが、その比較記事がありましたのでリンクしておきます。記事の印象、その他会社の戦略も含めての私見としてはTJXは高級OPS、ロス・ストアーズは庶民派OPSといった感じで、ロスの方がより低価格で親しまれているように感じました。但しロスの店内は嵐が過ぎ去ったようとも評されるようで、とてもごちゃごちゃしていますが、それもお宝探し感があって良いみたいです。その辺の感覚はわかりにくいのですが、日本でもドンキが受け入れられたので近い感覚かもしれません。
株式リターンの推移
投資対象として株式リターンの比較をしてみました。2007年から2019年までで、配当再投資の条件です。比較はノードストロームとTJXです。
ノードストロームはほとんどリターンはありませんでしたが、ロス・ストアーズとTJXは高いリターンとなっています。あと注目点としてはリーマンショックの時ですが、ロス・ストアーズのダメージは少なく、2008年はプラスで抜けているのに対して、ノードストロームはー60%と大打撃です。TJXも良いのですが、やや高級志向なのがマイナスに働いたように見えます。ちなみにノードストロームの奇跡の瞬間があって2008年に底値で買って、翌年売ればハイリターンとなっていました。
ロス・ストアーズは連続配当の配当貴族のため配当株としても悪くは無さそうです。
まとめ
アメリカの小売業界の決算が色々と発表になっていますが、一部百貨店は除くと全体には堅調の様子が見られます。その中でも低価格戦略できているOPSやターゲットあたりは好調のため、今後も成長は期待できそうです。中でも店舗の陳列はごちゃごちゃしていても経営は堅実な安売り路線で来ているロス・ストアーズは期待感も大きいです。配当でも連続増配の貴族という点は安心感があります。今後についてもしばらくは成長性はありそうなのと、もし株式暴落などによる不況が来てもOPSには追い風となる可能性もあり、その点でも負けにくい銘柄として候補にしてもいいかなと思いました。