端株でのんびり投資日記

気の向くままに端株でのんびり投資した記録の数々です

国内外成長株(米国株)として投資しているゾエティス(ZTS)について

ゾエティス(ZTS

ゾエティス(Zoetis Inc)は家畜・ペットを中心とする動物用医薬品とワクチンの開発・生産・商品化を行っています。事業内容は牛、豚、鶏、羊、魚、犬、猫、馬という8種類の動物を販売して、抗感染症薬、ワクチン、寄生虫駆除剤、薬用飼料添加物と他の医薬品という5種類の製品を国際的に販売しています。詳細な情報は米国株ブロガーの方で何人かされていましたが、その代表としておけいどんさんの記事をリンクさせて頂きました。メーカーHP全体をきれいにまとめられているので、これ以上追加する部分はありません。

okeydon.hatenablog.com

動物用医薬品のマーケットについて

動物用医薬品の市場規模の推移

2017年度で約320億ドルというデータがあります。今後も年率5~6%の伸び率と予想されています。

f:id:kamekichi-s:20200101135335p:plain

市場の内訳

今後も大きく変わることは無いと思われますが、変化があると予想されるのは新興国の肉食の増加、及びペット保有率の増加による比率上昇だと思います。

用途別

家畜向け :64%

ペット向け:36%

エリア別

アメリカ :47%

ヨーロッパ:31%

その他  :22%

代表的な動物の各国保有ランキング

畜産系ではブラジル、インド、アメリカ、中国が多くなっています。インドで牛が多いのは意外でしたが、肉は食べないけれど牛乳は飲むそうなので飼われているようです。きっと大切にされていると思います。

f:id:kamekichi-s:20200101134700p:plain

世界の牛飼育頭数

f:id:kamekichi-s:20200101134846p:plain

世界の豚飼育頭数

ペット系はアメリカ、中国、ロシアが多くなっています。なお市場規模としてみるとワクチン接種率ではアメリカは80%程度と高く飽和していますが、中国は10%以下なので今後飼い主がペットを大事にしてワクチンを接種していけばマーケットは大きくなると予想されます。なお日本は犬25%、猫10%だそうで、もう少し大事にした方がいいかもと思いました。

f:id:kamekichi-s:20200101134923p:plain

世界の犬飼育頭数

f:id:kamekichi-s:20200101134957p:plain

世界の猫飼育頭数

今後のマーケットの予測

畜産用

  • 今後も新興国を中心として肉食、及び牛乳や卵の需要は高まり、動物用の医薬品も伸びが期待できる。
  • 従来よりも安全性が要求されるようになり、それに応じて抗生物質、あるいは抗生物質も敬遠されてワクチンの需要は高くなる可能性がある。

ペット用

  • 今後も新興国の所得が増えるに従ってペットの保有頭数も増えて、それに合わせて医薬品の伸びも期待できる。
  • 従来よりも動物保護、もしくは家庭内のペットの地位向上(ペットも家族の一員)という意識の変化によりペットの健康管理のための支出が増加する。

畜産用・ペット用

  • 動物用医薬品は基本的に自由診療のため、保険がかかる人間用とは視点が異なる。つまり財政問題で苦しむ国の保険支出抑制の圧力が無いため、動物用医薬品の個人の支出増加があっても問題とされない。
  • 上記の追加として保険料抑制に効果のある薬価引き下げ圧力も無いため、特許切れとなった後も競合品となるジェネリックは参入しにくい。

動物用医薬品メーカーについて

2017年度での売り上げランキング

f:id:kamekichi-s:20200101143515p:plain

  • 動物用医薬品メーカー大手は人間用医薬品メーカーの一部門、もしくはスピンオフした所がほとんどとなる。ゾエティス(ファイザー)、エランコ(イーライリリー)なども社名ではわかりにくいですが、同様です。
  • 2018年にモンサント問題で困ったバイエルが、動物医薬品部門をエランコに売却したため2019年は2、3位になっている可能性がある。
  • 大手メーカーは概ね他の医薬品メーカーの非コアとされている動物医薬品部門を買収して大きくなっている。
  • 買収で大きくなった大手4強でほぼ動物用医薬品市場は寡占状態となっている。

今後の気になる点

現時点では中国に競合メーカーは存在しませんが、国を挙げて特に畜産用として製薬メーカーを育ててくる可能性がありそうな気がします。ただ製薬メーカーを育てるとしても、欧米の製薬会社から非コア事業として出されている案件のM&Aから入っていく事になるでしょうし、今後有力な案件が出てくるかということと、欧米側で安易に買収されないよう規制をかけてくるかもしれません。

またペットもそうですが、中国内での動物の飼育頭数が多いので、新規に開発を進めるにあたって治験データが早期に揃いそうです。もともと欧米メーカーが強いのも、古くからペット文化があったから治験データが取りやすかったためなので、同様の事は考えられます。但し動物用の医薬品も開発難易度は人間と同様に難しいと思われ、そんなにすぐに追いつかれないだろうと考えます。

まとめ

動物用医薬品市場は新規参入が少なく、あっても価格対抗されたうえに買収される可能性も高いため、今後も寡占状態は続く可能性がある。また国が関与する保険は適用されないため値下げ圧力も少なく、特許切れになっても利益率は維持されやすい。一方で畜産用としては新興国を含めて市場規模は肉食、及び動物性高タンパク質食品の需要増加からマーケットの拡大が期待できる。またペット用としては動物愛護の高まりや、ペットの保有率増加と地位向上からなるマーケットの拡大ができる。

このような市場環境で動物用医薬品メーカーで世界最大のゾエティスに対して今後も成長性は期待できるのではないかと思います。

 

f:id:kamekichi-s:20200101150404p:plain